remoとは

趣意

我々の祖先は他者とのコミュニケーションをはかるため、ボディーランゲージから言葉・文字などにはじまる情報伝達のための様々な工夫、発明、開発を行ってきました。15世紀の活版印刷の発明で情報はより速く拡散し伝搬する力を増し、電話を代表とする電気通信技術を経て、更にはテレビの誕生により、私達はリアルタイムに膨大な情報を得ることとなりました。現在では映像音響機器、コンピューター、インターネットなどを用いて個人レベルで情報を記録、編集制作、発信することが可能となっています。

 しかし、現代生活に溶け込んでいるメディアには一方的に発信される市場開拓を目的としたものが目立ちます。こういったいわゆるマスメディアと呼ばれるものの動向は、本来の人間のコミュニケーションツールとしての『メディア』の機能を狭めているのではないでしょうか。個人とメディアという1対1の関係においては、目的に縛られないより多様でフレキシブルなありようが見られます。そしてそこで発せられる表現には、芸術性や国際性を伴う時代を超えた情報が含まれているかもしれません。

 この組織では、特に近年目まぐるしい発展が見られる映像や音を用いた「個人を発信源とする表現」に注目しています。これらは、具体的なメッセージや物語でないことが多く、既存の装置(テレビ、映画館など)では取扱いにくいものであるためにビジネスとしては成立し難い状況にあります。しかし、そのことは「個人を発信源とする表現」に価値がないということを示しているわけではないと考えます。

 今後、これらの表現がどのように社会的価値を持つことと成るのか、また人々が個々にメディアを用いる中で本来のコミュニケーションという営みに相応しい動向をみせることとなるのか ー 私達は新たな表現活動のフィールドを開拓するために、改めて『メディア−媒介−』を介した表現を見つめ直し、様々な課題を探りつつ研究・実験・開発・実践の有機的循環を重視した活動を行います。

REMO DESK 2008年01月01日

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