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ライブ/パフォーマンス

2009/11/23 Phill Niblock presentation + performance with Katherine Liberovskaya

日時:2009年11月23日(月/祝)17:00-
料金:1000円( 別途1ドリンクをご注文ください)
アーティスト・フリー(アーティストは受付にてお申し出いただくと入場無料となります。
* 別途1ドリンクをご注文ください)

■内容
ニューヨーク ミニマルミュージックシーンの重鎮、Phill Niblockを招きプレゼンテーションとライブを行います。1958年からニューヨークで活動を始め、その後、数十年にわたり映像、音楽ともに一貫した方法論を用いるその表現は「究極のミニマリズム」と称され、賞賛され続けています。今回、パフォーマンスとともに、その仕事について本人自らに解説していただきます。また一緒に来日するメディア・アーティスト、Katherine Liberovskayaとのコラボレーションも予定しています。メディア・アートの歴史において孤高とも言えるそのパフォーマンスとともに是非、ご体験ください。

会場:Art Yard Studio(A.I.R.1963ビル 4F - A)
アクセス:地下鉄なんば駅「30番出口」から徒歩3分。
牛角、ゴルフマップとJRなんば駅の間の道沿い。ホテルモントレとライフの側方出口の向かいにあるA.I.R.ビル4F。A.I.R.ビル1Fは赤い壁の美容室。

お問い合わせ:NPO remo/レモ TEL 06-6686-5757 (不定休 14:00-19:00)/e-mail:info@remo.or.jp または remo.office@gmail.com

プロフィール:
Phill Niblock/フィル・ニブロック
1933年、アメリカ・ニューヨーク生まれ。メディア・アーティスト。音楽の他にビデオ・フィルム・写真など表現方法は多岐にわたる。ニューヨーク・ミニマルミュージックシーンの重鎮として、1980年代から76歳になる現在まで徹底したそのスタイルは、ソニック・ユース、ジム・オルークなど多くのアーティストに影響を与えている。1968年より、ニューヨークのExperimental Intermedia Foundation(以下、EI)に所属、1985年よりディレクターを務める。近年はゲント(ベルギー)でEIを設立し、アーティスト・イン・レジデンス(滞在制作)を主催している。
「一貫して同じ『独自』の美学を追及している。」(ヴィレッジ・ヴォイス誌)
http://www.phillniblock.com/

Katherine Liberovskaya/キャサリン・リベロヴスカヤ
モントリオール(カナダ)とニューヨークを中心に活動する映像・メディアアーティスト。1980年代後半より実験映像を主として制作し、長きに渡り、世界各地のアートスペースやイベントで、数多くのシングルチャンネルビデオ作品、ビデオインスタレーション、そしてビデオパフォーマンスを発表してきた。近年は、Phill Niblockをはじめ、Al Margolis/If,Bwana、小城仁志他と、自身の映像作品とのコラボレーション、2003年からは即興で、Anthony Coleman, Giuseppe Ielasiなど数多くの現代音楽家やアーティストとビデオミックスを積極的に展開している。また、作品制作と同時に、モントリオールとニューヨークの様々なメディア・アートのイベントの企画や組織にも関わっている。
http://www.liberovskaya.net/

■「メディア・アーティスト・イン・レジデンス・プログラム」参加者募集
2010年2月末、remoではフィル・ニブロック氏を再度大阪に招き、制作、発表を行います。今回、1991年の時点から制作されていない「The movement of people working 」の映像撮影を大阪市住之江区界隈の工業地帯にて行います。この制作に参加し、フィル・ニブロック氏の徹底したその方法論の現場を経験したい若いアーティスト、学生を募集します。定員10名。詳細は、info@remo.or.jpまで、お問い合わせください。

■お問い合わせ
NPO法人remo [記録と表現とメディアのための組織]
559-0011 大阪市住之江区北加賀屋5-4-12
TEL/FAX 06-6686-5757 (不定休/14:00-19:00)/ email: info@remo.or.jp


現代芸術創造支援事業「メディア・アーティスト・イン・レジデンス・プログラム」
主催:大阪市 
企画運営:NPO remo [記録と表現とメディアのための組織]/財団法人大阪城ホール 文化振興部
協力:特定非営利活動法人 キャズ(CAS)/住之江区加賀屋連合町会
会場協力:Art Yard
助成:Canada Council of the Arts( for Katherine Liberovskaya)

参考レビュー:
「フィル・ニブロックの季節」恩田晃(『ミュゼ』Vol. 40:2002年11月20日発行より)
 冬のニューヨーク、凍てついた空気が肌を刺す。今年もまたフィル・ニブロックの季節がやってきた。12月21日(注1:2002年)、チャイナ・タウンのど真ん中にある彼のロフト・スペース、エクスペリメンタル・インターメディアで、毎年恒例となった6時間にも及ぶサウンド・インスタレーション『The Solstice』が行われるのだ。
 『The Solstice』は特異な体験だ。耳をつんざくような轟音がいくつものスピーカーから流れ出し空間を埋めつくす。究極のミニマリズム。メロディーも、ハーモニーも、リズムもない。ひたすら大音量でドローンが鳴り響く。だが、しばらくその中に身を浸していると、巨大なマッスの細部が微妙に変化し続けていることに気付かされる。ピッチは複雑に絡み合い、音の断片は生成と消滅をくり返す。緩やかに流れる大河のように、大きなうねりをつくりだしている。加えて、部屋の中のいたるところに、映像作家でもある彼がこれまでに撮りためてきた映像が16ミリやビデオで延々と映し出される。アジアの各地で、畑を耕したり、魚を捕獲したり…、太古から今に至るまで連綿と続いてきた人々の営みのディテールを記録したものが多い。ずっと見続けていると、チャイナ・タウンにいるという現実と、強烈な色彩のアジアの幻覚が奇妙にリンクし始める。
 そして、当の本人は、ワイン・グラスを片手に、ニコニコと笑顔を振りまきながら訪れた客と談笑しているのだ。
 フィル・ニブロックは特異なコンポーザーだ。もともとは写真家あがり。ジャズが好きで、50年代にはデューク・エリントンの写真なども撮っていた。 60年代には、映像作家としてサン・ラのドキュメンタリーも撮っている。そんな過去を持つためか、視覚芸術の方法論を作曲に応用することが多い。作曲法はいたってシンプルだ。トロンボーン、チェロ、ギターなど、持続音を出しやすい楽器をひとつ選び、ミュージシャンに一定の周波数とそれに近いピッチの音を演奏してもらい(たとえば、低いオクターブのA=55Hzを選ぶと、それに2Hzずつ加えた音、57、59、61Hzを録音する。真ん中のオクターブでは 110Hzに加えて113、116、119Hz。他のオクターブも同様に録音していく)、それらの素材をサンプリングしてマルチトラック・レコーダーで編集し(最近はプロ・トゥールズを使っている)、ドローン・サウンドを絵の具を塗り込めるにして描き上げていく。そして、コンサートでは、そのうえにミュージシャンが生の演奏を付け加える。この同じスタイルを数十年に渡って固持している。しかし、やっていることは同じでも、このところますます音楽が良くなってきているのだ。彼は現在69歳(注2:現在76歳)なのだが、この年齢で若い頃より優れた作品を生み出せるコンポーザーなどそういるわけではない。継続は力なり。老成した渋みなんてものとは無縁に、歳を取るごとに瑞々しく華やいできている。
 今年は、TOUCH(レーベル/英)から『Touch Works, for Hurdy Gurdy and Voice』を、ジム・オルークのレーベル、モイカイから『G2, 44+1X2』をリリースした。どちらも素晴らしい出来なので是非聴いてみて欲しい。
REMO DESK 2009年11月10日